発電シミュレーションを自分でやってみよう

見積もりの見かた

太陽光発電の見積もりを取ると必ず?ついてくる「発電シミュレーション」ですが、各社、さまざまなスタイルで作成しています。

販売会社の自社のフォーマットで見やすく統一しているところもあれば、太陽光メーカーの見積もりシステムから出力されるシミュレーションをそのまま添付してくる会社もあります。

メーカーのシミュレーションは年間の自家消費の量を大雑把に設定できたりはするのですが、そのお客様ごとの細かい使用状況を反映させるにはメーカー見積システムからの発電量を使って自作する必要があります。

ただし、新築住宅の場合、これまでの電気の使用量などがあまりあてにならないのが実情ですので、「一般的なオール電化住宅で大人2人子供2人の場合」などという感じで提出することになります。

では、まず簡単に発電量を出してみましょう。

年間発電量の簡易計算

屋根の大きさから設置できる出力を計算

まずは屋根の大きさが…

①横方向(間口、まぐち)10m~11m

②縦方向(流れ)5m~6m

上記でおおよそ50平方メートル(15坪)あれば、おおよそ5kWほどの太陽光が設置できます。

これは、パネルを設置した状態で屋根の端部までのクリアランス、離隔、余剰…が一定量必要とメーカーが決めている寸法を加味しています。

※メーカーの定める屋根端部までの離隔距離が守られていないと保証・補償申請ができなくなりますので要注意です!!

以上のことから、少し乱暴な計算になりますが、屋根1平方メートルで0.1kWで計算してしまっても大間違いではないとしましょう。

ただしこの場合の屋根は「片流れ」「切妻」と呼ばれる屋根形状のときになります。

片流れなら1面、切妻なら2面の屋根があるという事になります。

※「寄棟」(よせむね)、「方形」(ほうぎょう)屋根の場合は4面の屋根面があるということになりますが、この場合の屋根面は三角や台形のかたちになっているので、「離隔距離」を割り出すのがむずかしいと思います。この記事は、まずは自分でどのくらいの太陽光が設置できてどのくらいのメリットがあるかを概算してみようという主旨なのですが、寄棟や方形の場合は各メーカーの規定にあわせて設計する必要があり、最初から一括見積サイトを使って各社の最大出力を見てみることをおすすめします。

最大出力を出してみる

屋根の面積から設置できる出力がわかったら、そこからの発電量を計算してみましょう。

この計算には屋根の勾配がどの方角に向いているかを確認します。屋根面に降った雨が南方向に流れていくなら南向き、東に流れていくなら東向きということになります。

屋根向きが真南のとき 5kWとして

5(kW)×1000×1.0(真南なら100%で1)= 5000kWh

真東か真西のとき 5kWとして

5(kW)×1000×0.85(真東、西なら85%で0.85)= 4250kWh

南と真西、真東の中間のとき 5kWとして

5(kW)×1000×0.95(中間なら95%で0.95)= 4750kWh

以上が方角での補正をかけた発電量になりました。南面に対して真横になると15%発電量が減るということになります。

以上が太陽光発電量の概算式です。出力のキロワット数に1000をかけるだけになっています。ただ、これまでの太陽光発電の概算式がこれだというだけで、実際の発電はもう少し出るというのが真実です。

日本で最も発電量が少ない(県庁所在地で)とされる秋田市でも、シミュレーションで出てくる発電量は5kWで5484kWhとなっています。この場合では1000をかけるではなく、「1091をかける」になりますね。最も発電量の多い山梨市なら「1353をかける」になります。

概算ですので、秋田市にお住まいなら間を取って「1045をかける」、山梨市にお住まいなら間を取って「1175をかける」としても問題ないでしょう。

このくらいの補正はしないと発電量が多いとされる長野県や東海地方と少し発電量の少ない東北、北陸地方が同じ発電量になってしまいますので…。

県庁所在地の発電量ランキングはこちらhttps://www.taiyoumitsumori.com/kennchouranking2020-5/

太陽光発電のメリットを計算してみよう

自分のおうちの発電量が出たところで、メリットの計算をしてみましょう。

メリットの計算には、ご家庭ごとの電気の使い方が大きく影響します。

これは、発電した電力のうち何割を自家消費するのか?を割り出すためです。

4人家族で日中はほとんど留守にしている場合

発電量3500~4500kWh

<例> 3500のうち4割自家消費で6割売電として概算する

自家消費はオール電化なら日中の電気料金の平均、従量電灯契約なら3段階目と2段階目の平均にしてみましょう。

たとえば東京電力のオール電化プランなら昼間の電気料金(7~9月は38.63円、10~6月は31.64円)の平均をとって 1kWhあたり33.3875円。ここに「再エネ賦課金」の2.98円を足して 1kWhあたり 約36.37円 になります。

自家消費… 1400kWh × 36.37 =¥50,918 これが払わなくて済む分

売電金額… 2100kWh × 21 =¥44,100 これが振り込まれてきます。

合計のメリットは 10年目まで(固定買取期間)年間 95,018円 になります。

10年目以降は売電が8円としたら、年間のメリット 67,718円です。

発電量4500kWh以上

<例> 5000のうち3割自家消費で7割売電として概算する

自家消費… 1500kWh × 36.37 =¥54,555 これが払わなくて済む分

売電金額… 3500kWh × 21 =¥73,500 これが振り込まれてきます。

合計のメリットは 10年目まで(固定買取期間)年間 128,055円 になります。

10年目以降は売電が8円としたら、年間のメリット 82,555円です。

4人家族で日中も電気を使う人がいる場合

発電量3500~4500kWh

<例> 3500のうち5割自家消費で5割売電として概算する

自家消費はオール電化なら日中の電気料金の平均、従量電灯契約なら3段階目と2段階目の平均にしてみましょう。

たとえば東京電力のオール電化プランなら昼間の電気料金(7~9月は38.63円、10~6月は31.64円)の平均をとって 1kWhあたり33.3875円。ここに「再エネ賦課金」の2.98円を足して 1kWhあたり 約36.37円 になります。

自家消費… 1750kWh × 36.37 =¥63,647 これが払わなくて済む分

売電金額… 1750kWh × 21 =¥36,750 これが振り込まれてきます。

合計のメリットは 10年目まで(固定買取期間)年間 100,397円 になります。

10年目以降は売電が8円としたら、年間のメリット 77,647円です。

発電量4500kWh以上

<例> 5000のうち4割自家消費で6割売電として概算する

自家消費… 2000kWh × 36.37 =¥72,740 これが払わなくて済む分

売電金額… 3000kWh × 21 =¥63,000 これが振り込まれてきます。

合計のメリットは 10年目まで(固定買取期間)年間 135,740円 になります。

10年目以降は売電が8円としたら、年間のメリット 96,740円です。

まとめ

いかがでしょうか?

自分の家、これから建てる家に太陽光をつければどのくらいのメリット(=光熱費の削減効果)があるかが判りますと、新築の場合のローンの負担感を下げる効果がわかってきます。

太陽光で年間の光熱費が12万円下がるとしたら、月々1万円の負担軽減になるということです。

太陽光設置費用で住宅ローンの総額が増えても、月々の支払い増額はせいぜい3000円程度でしょう。差し引き7000円の負担軽減になります。

以上のことからZEH(ゼロエネルギーハウス)は手が届かなくとも、太陽光だけは付けたい!!というご要望が増えてきているのだと思います。

まずは、見積もりを取るところから始めてみましょう。

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