V2Hについて

太陽光発電のあれこれ

V2H(「Vehicle to Home」 ビークル・トゥー・ホーム )について書いてみようかなと思います。

最近、普及が進んできているEV(電気自動車)、PHV(プラグインハイブリッド車)に搭載されている蓄電池に貯められている電力を、家庭内の電気機器に使用できるようにするシステムの総称が「V2H」となっています。

V2H自体は「電力の変換機」でしかない

V2Hという機械は一般住宅でいうガレージ周りに設置されることが多く(V2Hから電気自動車への充電ケーブルの長さに限りがあるため)屋外の地面設置が通常になっています。

その働きとしては…

①電気自動車への充電に使われる

 電気自動車に搭載されている蓄電池は「電池」ですので、「直流」での充電が必要ですが、家庭に送られてくる電力は「交流」になっているので、そのままでは充電できません。ですので、いったんV2Hにて交流から直流に変換されてから充電が行われます。

②電気自動車の蓄電池から家庭の電気機器に電力を流す

 蓄えられている電力を家庭の電気機器に放電します。つまりは「蓄電池からの直流」を「家庭で使える交流」に変換する機能

以上のことから…V2Hで行われておこなわれているのは、どちらにしろ「電力の変換」であるといえます。

太陽光発電システムと一緒に設置されることが多い

当然、太陽光発電のある住宅に設置されることがほとんどで、発電した電気が家庭の消費を上回っているとき、余った電気がV2Hを経由して電気自動車に充電されます。逆に夜間など発電をしていない時間帯に電気自動車からの電気を「積極的に」使っていけます。

「積極的に」というのは、太陽光発電を設置していないでV2Hと電気自動車のみを採用している場合、安いとはいえ夜間の電気を購入して充電していることになります。当然、購入した電気の量にたいしてかかってくる再エネ賦課金も払って充電しているわけで、これを家庭内で使うために再変換させる…というのには抵抗がある方もいらっしゃいます。

電力の変換には必ず「損失」が発生します。夜間の有償電力を損失させて充電したのに、今度はそれを損失させて家庭で消費し、次の日の車の使用に備えて深夜電力を損失させて充電する…。これにはさすがに抵抗を覚えるのも納得できます。

太陽光が設置されているのなら、日中の余った電力で充電を行えます。数年前の売電価格が高かったときなら、余った電力が売電されてお金という形に変わっても、もったいなくはなかったかもしれませんが、現在の「グリッドパリティ後の売電価格」では、電気は電気のまま使ってしまったほうが圧倒的に優位になります。購入する電気料金も再エネ賦課金も上がっているので、電気は電気のまま使うことの価値がますます大きくなっているということですね。

蓄電池として使えるのは、自宅に停車しているときだけ

あたりまえですが、電気自動車で外出しているときは蓄電池としては使えません。太陽光発電も設置している家庭の場合、天気の良い日でも外出していると発電して余った電力を電気自動車に蓄えることができません。朝、電気自動車で出勤し夕方帰宅する…という生活ですと、ほとんど夜間電力を購入して充電するという使い方になってしまいます。

結局、定置型蓄電池じゃないとメリットが小さいのか?

それでは、電気自動車を自動車と蓄電池の一石二鳥として使うことはできないのか…?

…というと、そうでもありません。なぜなら、定置型蓄電池には消防法の規定があり4800Ah以上の蓄電池は届け出が必要となっているので、家庭用の定置型蓄電池はこの規定を超えないように設計されています。ですので、電気自動車ほどの大容量の電池を採用できないという問題があるからです。

4800Ahということは、電力量(kWh)に変換すると17.7kWh程度になります。

これは、最近、絶賛発売中で販売台数を伸ばしている 軽自動車EV「日産サクラ」の蓄電容量20kWhよりも小さいということです。

軽自動車であってもEV車のほうが大容量であるのに、一般住宅に停めて使用してもよいということ…定置型ではなく、あくまでクルマなので消防法の規定に抵触しないということです。

新型リーフ(日産)になると、その蓄電容量は40kWhもあり、サクラの2倍に上ります。こんな大容量を自宅に「停めておける」のが電気自動車の強みになりますね。

※4800Ah以上の蓄電池は設置できないわけではありません。消防署に届け出て許可が下りれば可能です。ただし、手続きが大変で到底おすすめできません。

自分の生活スタイルにあわせて考えよう

結論としては、それぞれのご家庭の生活スタイルにあわせて考えて設置する…が正解になります。

電気自動車の価値は、その時のガソリン価格や電気料金に大きく左右されますので、一定ではありません。

また、市中の充電スタンドもメンテナンスが滞って使用できなくなっているところもチラホラございます。

日産サクラのように自宅での夜間充電を前提に考えている(たぶん)ちょうどよい蓄電容量の電気自動車が増えてくるかもしれません。

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